
トップメニュー 第1章 ビタミンについての基礎知識 第2章 目と肌のビタミン、ビタミンA 第3章 お互いに協力し合って代謝に重要な働きをするビタミンB群 第4章 美容だけでなく、さまざまな働きで注目を集めるビタミンC 第5章 脂溶性という共通点はあっても、それぞれ独自の働きをするビタミンD・E・K 第6章 健康を保ち、不快な症状を解消するためのビタミン活用法 第7章 ビタミンをとるための2つの方法とビタミン剤の上手な利用法 第3章
お互いに協力し合って代謝に重要な働きをするビタミンB群 ビタミンB群といっても、ビタミンAやC、Eなどとくらべるとなじみが薄いかもしれません。しかし、非常に重要な働きをし、 最近では皮膚の健康を守るという美容の面でも注目を集めています。 1.ビタミンB群は大家族。命名の由来もさまざまです 2.ビタミンB群は、協力して働きます 3.脚気の治療で発見されたビタミンB1は糖質の代謝と神経の調整にかかわっています 4.ビタミンB1不足は、夏バテとまちがいやすい欠乏症を引き起こします 5.こんな生活をつづけている人はB1不足になりかねません 6.ビタミンB1は1日にどのくらいの量をとる必要があるのでしょうか 7.ビタミンB1はこんな食品に多く含まれています 8.調理法で、B1の量が大幅に違ってきます 9.光に弱いビタミンB2は、脂肪の代謝と細胞呼吸に関わっています 10.ビタミンB2が不足すると、こんな症状が出ます 11.こんな人、こんな場合はビタミンB2不足に注意 12.ビタミンB2の所要量と多く含まれている食品 13.とりにくいビタミンB2をじょうずにとるコツ 14.ビタミンB6は、タンパク質の代謝にかかわっています 15.ビタミンB6が不足すると、こんな症状が出ます 16.ビタミンB6の1日の所要量と多く含まれている食品 17."赤いビタミン"と騒がれたビタミンB12、その働きと欠乏症 18.ビタミンB12の所要量と多く含まれている食品 19.ナイアシンはこんなビタミンです 20.自然界に広く分布するビタミン、パントテン酸 21.発育を促進する働きを持つ葉酸 22.所要量を腸内細菌がつくってくれるビオチン 1.ビタミンB群は大家族。命名の由来もさまざまです ビタミンB群は大家族です。ビタミンとしてB1、B2、B6、B12、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、ビオチンがありますし 、ビタミン関連化合物のビタミンBT、コリンなどをも含めると10種類を超えます。 このようにたくさんの種類があるのは、当初、ひとつのビタミンと考えられていたからです。それが、多くのビタミンから 成り立っていることがわかって、次々に独立していきました。そして、発見順にB1、B2……と、アルファベットの右下に 小さく数字を入れて表すようになりました。 ただし、B3、B4、B5が欠番になっています。それは、次の理由によります。ビタミンB3はパントテン酸と同じ、B4は グリシン、アルギニン、シスチンといった3種類の物質の混合物か、あるいはB2とB6の混合物といわれていますし、 B5はどうやらパントテン酸と同じらしいということで、外されていったのです。ビタミンBTのように、右下に小さな アルファベット文字がくっついたものもあります。このTは、コメゴミムシダマシの原語の頭文字で、その昆虫の成長に とって重要な働きをすることから名付けられました。 ちなみに、葉酸は、ほうれん草から見つかったので葉(原語はFolium)からフォリック・アシドと呼ばれ、そのまま葉酸と 日本語に訳されました。パントテン酸も、動物界に広く分布するということから、ギリシア語のパン("広く"という意味)が 頭につきました。 2.ビタミンB群は、協力して働きます ところで、B群のビタミンが、なぜ群としてまとめられているのでしょうか。それは、食事からとった糖質、タンパク質、 脂肪などの栄養素を、肝臓などの内蔵器官や筋肉を始めとした全身の細胞で、分解し燃やしてエネルギーにかえるとき、 ビタミンB群が分担し協力しながら重要な働きをしているからです。その重要な働きとは、補酵素という共通の働きです。 そして、共通性はあるものの個々の生理作用は違うので、それぞれ独立したビタミンとして扱っているのです。 3.脚気の治療で発見されたビタミンB1は糖質の代謝異常と神経の調整に関わっています 日本にはかつて、たとえば1923年(大正12年)、1年間に約3万人もの死者を出す病気がありました。それは脚気(かっけ) です。現在でこそ脚気はビタミンB1欠乏症として知られ、めったにお目にかかれる病気ではなくなりましたが、当時は 結核と並ぶ二大国民病だったです。この脚気の治療ビタミンとして、ビタミンAとともにビタミン学の初めに発見 されたのが、ビタミンB1です。 ビタミンB1とは、化学名でいうサイアミンという物質のことです。水溶性で、人間の体の中では合成できません。 一度にいくら大量にとっても、血液中の濃さがある一定の飽和量に達してしまえば、余った分はすべて尿の中に 排泄されてしまいます。 さて、このB1の働きですが、なんといっても糖質代謝の仲立ちをする酵素を助ける(補酵素の働き)ことにあります。 もっと簡単に言えば、体の中で糖質を分解してエネルギーに変えるのに必要なのがB1なのです。ビタミンB1が 不足すると、糖質の分解が途中でストップし、エネルギーの生産がスムーズに行われなくなります。中間代謝物である 乳酸などの疲労素もどんどんたまってしまいます。 脳や神経は、糖質から できるエネルギーを必要とすることから、ビタミンB1は、神経系の働きの維持や調整にも大きな役割をになっています。 また、消化機能を刺激したり、消化液の分泌を促進する働きもあります。 4.ビタミンB1不足は、夏バテとまちがいやすい欠乏症を引き起こします ビタミンB1が不足すると、次のような、さまざまな症状が現れます。 ●エネルギー代謝が 不調になるため、食欲がなくなり、とても疲れやすくなったり、全身がだるく感じるようになります。また、体内に水分が たまるため、手足や、さらには全身がむくんだりします。 ●血液の循環が悪くなって動悸・息切れ、心不全など、心臓病のような症状が出ます。 ●足がだるい、手足がしびれる、マヒするなどの末梢神経に異常を起こします。 ●熱さや冷たさなどを感じなくなるなど、知覚が鈍くなります。 ●めまい、肩こり、頭が重いなど、自律神経失調症とまちがわれるような症状が出ます。 ●思考能力が落ち、イライラしたり、怒りっぽくなるなど情緒不安定になります。 ●胃のあたりがシクシクし、胸やけや吐きけなどの胃腸障害を起こしやすくなります。 ●腸の動きがマヒしてしまい、便秘と下痢を繰り返すようになります。 体がだるいくらいだと、おなじみの夏バテと思ったりして、自分でもB1不足だと気がつかないことが多いものです。 ある調査によると、最近、潜在性のB1欠乏症の人が増えているそうです。こんなB1欠乏状態が続くと、やがて思わぬ 大病を引き起こすことにもなりかねません。 5.こんな生活をつづけている人はB1不足になりかねません ともすればビタミンB1不足を起こしやすい生活や習慣というものがあります。 まず、ダイエットをしている 女性は、食事の偏りによるB1不足が心配されます。朝食抜きで出勤するビジネスマンやOLも要注意。昼食を ハンバーガーや菓子パン類だけで済ませる人や、インスタントラーメンだけでおしまいという主婦も、ビタミンB1欠乏症の 予備軍です。また、ごはんの大盛りとおかずチョッピリといった食事を続けることも、B1不足を招きかねません。 抗生物質を長期にわたって飲んでいる人もB1不足に注意。 また、間食が多く 清涼飲料をガブ飲みし、好き嫌いのはげしい子供は、いつビタミンB1欠乏症になってもおかしくありません。 6.ビタミンB1は1日にどのくらいの量をとる必要があるのでしょうか? それでは、私たちは1日にどのくらいのB1をとらなければいけないのでしょうか。 1日の所要量は、 大人の男性で1.0mg、同じくおとなの女性で0.8mgといわれています。しかし、これはあくまで平均的な所要量。 一人一人の労働や活動状態、食生活の内容によって必要な量は変わってきます。たとえば仕事やスポーツで 肉体を酷使している場合は、エネルギーを多く消費しているわけですから、それに応じて多くとらなければなりません。 暑いときなども体力を消耗しがちなので、多めにとったほうがいいでしょう。すでに欠乏症があらわれている人は、 ふつうの人以上に多くの量をとらなければ、症状の改善にはなりません。 7.ビタミンB1はこんな食品に多く含まれています 日本人は、主食であるお米から最も多くのビタミンB1をとっています。ただ、B1が多く含まれているのは、米ぬかや 胚芽の部分。つまり、精白米より玄米のほうがB1の量が多いのです。胚芽米やビタミン強化米にも、多く 含まれています。 豚肉もB1が多く、牛肉の10倍もの量が含まれています。 8.調理法で、ビタミンB1の量が大幅に違ってきます B1は、水で洗うと流れ出やすい性質を持っています。たとえば強化米であっても、とぐ段階で、どんどん流れ出て しまうのです。炊き上がったご飯に含まれているB1の量が半分に減っていたという話しもあるくらいです。当然、 煮汁にも流れ出るので、B1が多いといわれている大豆にしても、含め煮をして煮汁も飲むくらいでないと量はとれません。 また、水に溶けている状態のB1は、熱、アルカリ、化学物質に弱く、簡単に分解してしまいます。こんなことから、 調理による損失率が平均30%というデータが出てくるのでしょう。ですから、水煮にして強く加熱したり、アルカリ性の 胃薬といっしょにとるのは避けたほうがいいということになります。さらに、生の貝類にはB1分解酵素が、鯉にも アノイリナーゼというB1を壊す成分が含まれているので、これらの食べ過ぎも要注意。なお、生のカニにもB1を 壊す成分が含まれていますが、いずれも火をとおせば大丈夫です。 こう見てくると、 ビタミンB1を食品からとるのは、なかなかコツがいることがわかります。しかも、B1は体の中に貯めておけないので、 毎日、必要量をとらなければなりません。結局、毎日、必要なビタミンB1の量を満たすには、主食である米から 効率よくとる工夫が必要になります。その具体策として、あらかじめといで水を張った精白米に、洗米していない 強化米をパラパラと上から混ぜる方法がおすすめです。 9.光に弱いビタミンB2は、脂肪の代謝と細胞呼吸にかかわっています ビタミンB物質の研究中に、熱を加えても分解しない耐熱性のある物質が発見されました。これがビタミンB2、 化学名リボフラビンです。結晶状態では緑色の蛍光を出す黄橙色の水溶性ビタミンです。不足するとラットの成長が 止まるため、発見された当初はgrowth(成長)の頭文字をとって、ビタミンGと呼ばれていました。 ビタミンB2は、熱や酸には強いのですがアルカリには弱く、また、光に当たると酸化してしまい、効きめがなくなるという 性質を持っています。ちなみにB2がたくさん含まれている食品のひとつである牛乳を、透明なプラスチックの容器に 入れて放置しておくと、B2の量が半分に減ってしまうほどです。 次に、その働きです。 ビタミンB2は、糖質、脂質、タンパク質の代謝の仲立ちをする酵素を助ける働きをします。特に脂質の代謝に関わって います。 ところで、人間の細胞は、酸化還元反応といって、呼吸をしています。酸素を吸って炭酸ガスを吐き出しているわけです。 B2は、この細胞呼吸にも欠かせません。また、細胞が毎日生まれ変わるときにも必要といわれています。言い換えれば、 B2は皮膚や粘膜を保護するビタミンでもあり、皮膚や爪、毛の発育や健康の維持に関わっています。このため、 B2は"皮膚のビタミン"とも呼ばれます。 この他、肝臓の働きを強めたり、体の中に入った毒物を解毒する働きもあります。 10.ビタミンB2が不足すると、こんな症状が出ます ビタミンB2が不足がちになると、細胞の呼吸がうまくいかず、皮膚や粘膜に炎症が起きます。具体的は、まずニキビなどの 皮膚炎が身近な欠乏症として挙げられます。また、口や唇の病気を起こします。唇が荒れたり、赤くむけたり、口角炎 (口の端が切れる)になったりしますし、舌が荒れたり、口内炎で口の中がヒリヒリしたりします。さらに、肛門や膣に 炎症を起こし、かゆくなったり、ただれたり、痛んだりします。目も同様で、ゴロゴロしたり、チカチカしたり、目やにが出たり、 黒目の周りが充血したりします。 これらの症状と関連しますが、いろいろな湿疹や皮膚炎がある人では、血液の中のビタミンB2が減っていることも わかっています。なお、このビタミンB2は、この後お話するB6とともに、最近その重要性が叫ばれるようになっています。 それというのも、私たち日本人の食生活の傾向が、近ごろ大きく変化したため。ご飯を中心とした糖質の摂取量が減り、 代わりに脂肪やタンパク質の量が増えてきたのです。そこで、脂肪の代謝に必要なB2と、タンパク質の代謝に必要な B6をたくさんとる必要が高まってきたというわけです。 11.こんな人、こんな場合はビタミンB2不足に注意! ビタミンB2は、病気中や、その後に不足しがちです。熱が出るとエネルギーを消費すると同時に、ビタミン類をも消費します。 そのうえ食欲が落ちて、とるべきビタミンが減っていることから不足がちになるわけです。 また、病気の治療で抗生物質を飲んでいたり、経口避妊薬や向精神薬(精神病の治療薬)をいつも使っている場合にも、 B2の不足が起こることがあります。ふだんの生活では、下痢や便秘など腸の具合がよくないときに不足します。これは、 腸内に棲む細菌とビタミンB群の吸収とが関係あるためです。 もちろん、食事が かたよりがちな人も注意する必要がありますが、特に脂肪分の多い食べ物をよくとる人は、B2が必要です。 ダイエット中の人は、意識してビタミンB2をとる必要があります(所要量の3倍)。食事の量が減っているため、たいてい ビタミンの摂取も減っているうえ、体の中の脂肪を燃やすために、ふだん以上にB2が必要になるからです。 その他、徹夜や夜更かしをして睡眠不足のとき、酒を飲んだときにも、B2は欠かせません。アルコールをとると脂肪の 代謝が悪くなるので、B2を補う必要があるのです。 12.ビタミンB2の所要量と多く含まれている食品 ビタミンB2の1日の所要量は、大人の男性で1.4mg、同じく女性で1.2mgです。水溶性のため多めにとっても多過ぎた分は すぐに尿の中に出てしまうので、毎日コンスタントにとる必要があります。 ビタミンB2が多く含まれている代表的な食品として、上に示したようなものがあります。肉や乳製品摂取が欧米ほど ではない日本人には、B2は不足しやすいビタミンといえます。しかも、たとえば1.2mgをとるには、牛レバーなら40g、 プロセスチーズでは320g(1箱半)、納豆では210g(100g入り2パック)、魚肉ソーセージなら200g、ホウレン草ではなんと 520gも食べなければならないのです。これらを毎日食べるのは並大抵なことではありません。 こうしてみると、B2はかなりとりにくいビタミンであることがわかります。 13.とりにくいビタミンB2をじょうずにとるコツ 日常の食生活でB2をとるのにいちばん有利なのはレバーです。しかし、その匂いのせいで嫌いな人が多いのも確か。 となると、じょうずにB2をとるには、比較的B2を含んでいる食品をバランスよく食べるしか手はありません。卵、納豆、 いわし、さば、さんま、しいたけ、緑黄色野菜など身近な食品を、毎日欠かさず食卓にのせるようにするのです。 これらの食品の保存や調理にも注意が必要です。B2は光に弱いので、緑黄色野菜を保存するときは必ず暗い所に。 またB2は水に溶ける性質があるので、細かく切ってから水で洗うと減ってしまいます。さらに、長く煮ると、煮汁に 溶けだしてしまうので、煮含めたり、煮汁も食べるようにすることもポイントです。 14.ビタミンB6は、タンパク質の代謝にかかわっています ビタミンB6は、カ学名ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、の3種と、それぞれのリ酸エステルを含む 計6種類の物質のことをさします。メインになるのはピリドキサシンです。 植物と微生物はB6を 生合成することができますが、動物は合成できません。しかし、腸内細菌が作り出したものを一部利用しています。 性質は、熱や酸、アルカリには強いのですが、光には弱く、光に当たると分解してしまいます。また、ほかのB群と同様、 水溶性で、多くとっても尿の中に出てしまいます。 ビタミンB6は私たちの 体を作っているアミノ酸(蛋白質)などの代謝に関係している酵素の働きを助ける重要な物質で、脂肪の代謝にも かかわりを持っています。細胞の新陳代謝を促すことから、発育促進、各組織の修復作用、生機能の活発化、 性欲増進などの働きがあります。 また、抗生物質や経口避妊薬に対する解毒作用を持っています。さらに月経に影響を与えたり、妊娠中のつわりを 軽くする働きを持っています。 その他、B6は、アレルギー性の病気(ジンマシン、アトピー性皮膚炎など)を防ぐ働きもあります。B6は、ビタミンB群の 中ではB12とならんで、近年重要性が増しているビタミンです。 15.ビタミンB6が不足すると、こんな症状が出ます ビタミンB6は、タンパク質と脂肪の代謝に必要な栄養素であるため、肉を多食する欧米人に不足しがちとされる一方、 日本ではめったに不足しないといわれてきました。ところが、近ごろの日本では欠乏する人が多くなっているのでは、 と考えられています。これは、食生活が洋風化したためです。また、ある種の結核薬を飲んでいる人は欠乏症になる 可能性があります。 B6が欠乏すると、肌荒れや鼻・口・眼の周りに皮膚炎(脂漏性皮膚炎)を起こしたり、ニキビや吹き出物ができやすく なります。また、頭皮から脂っぽいフケがたくさん出るようになります。歯のホウロウ質はケラチンという硬い物で できていますが、このケラチンもタンパク質からつくられているため、B6が不足するともろくなり、虫歯にかかりやすく なります。貧血も起こしやすくなります。なお、ナイアシンの欠乏症といっしょに起こることが多いといわれています。 16.ビタミンB6の1日の所要量と、多く含まれている食品 前項でもふれたように、ビタミンB6は、めったに欠乏症を起こさないといわれるため、日本では1日の所要量が 決められていません。ただ、アメリカで決められた所要量によると、性差、年齢差、それに妊婦か授乳婦かによる 多少の量の違いはあるにしても、19才以上の所要量は、1.6〜2.2mgとなっています。 なおB6は、水溶性である B群ビタミンとしては珍しく過剰症があります。臨床実験による過剰の目安量は、1日100mg以上といわれ、症状として 手足の感覚がなくなるといった末梢神経障害を起こします。 ビタミンB6が多く含まれている代表的な食品としては牛のレバー、クルミ、にら、イワシ、じゃがいも、鮭などが あります。 17.赤いビタミン"と騒がれたビタミンB12 13種類あるビタミンの中でも、ビタミン研究史上、正式に認知された最後のビタミンがビタミンB12です。肝臓エキスに 含まれ貧血に効果のある物質として、かなり古くから知られていました。1948年に肝臓から赤色結晶が分離されて B12と名付けられました。化学名をコバラミンといいます。水溶性で、熱や酸、アルカリ、光などによって分解され やすいという性質を持っています。 B12には、他のビタミンと異なる次のようなきわだった特徴があります。 構造がきわめて 複雑な化合物で、分子中に金属のコバルトを含んでいます。そのため実にきれいな赤色で、発見当時"赤い ビタミン"と騒がれました。 細菌や一部の微生物によってしか作られず、植物にはまったく存在しません。そのため、菜食主義者は欠乏 しやすいといわれます。 ビタミンは本来、微量で効果を現しますが、B12はそれが特に著しく、所要量などに使われる単位もミリグラムの 千分の一のマイクログラム(μg)です。 ビタミンB12は、葉酸とともに細胞分裂に必要な核酸をつくる物質です。細胞の新陳代謝を盛んにし、特に血液中 の赤血球をつくるときに重要な働きをしています。 ビタミンB12が不足すると、忘れっぽくなるなどボケの症状が出たり、神経が不安定になって不眠症になったりします。 極端に不足すると「巨赤芽球性貧血」という悪性貧血を起こします。これは、赤血球が普通より大きくなり、色は濃い のですが全体としては数も少なく、働きも正常な赤血球とくらべるとかなり低いのです。当然、赤血球のおもな働きで 得ある酸素の運搬がうまくいかず、貧血になってしまうのです。 18.ビタミンB12の所要量と多く含まれている食品 ビタミンB12の1日の所要量は約2.0〜3.0μg(マイクログラム)といわれています。多く含まれている代表的な食品と しては、カキ、しじみ、イワシ、サバ、はまぐり、牛乳などがあります。所要量3.0μgをとるには、しじみなら13g、 かきでは18g、豚レバーなら15gを食べる必要があります。 植物性の食品には 含まれていないビタミンなので、ダイエット中で、サラダばかり食べている人は欠乏症になりかねません。むしろ 新陳代謝を促進してダイエット効果を高めるために、B12を所要量の3倍はとりたいものです。また、B12は胃の 粘膜から分泌される物質と結びついて吸収されるので、胃の悪い人や胃の手術をした人は、意識して積極的に とるようにしないと貧血になりかねません。 なお、B12は、葉酸やビタミンCといっしょにとると、その効果が増します。 19.ナイアシンはこんなビタミンです どのようなビタミンか? ナイアシンには、体の中で同じ酸化還元反応をつかさどるニコチン酸とニコチン酸アミドの2種類があります。 いずれも、熱、酸、アルカリに強く、ふつうの調理法では分解されることはありません。他のB群ビタミンと同様に 水溶性です。動物、植物ともに広く含まれ、人間も必須アミノ酸のトリプトファン代謝の副産物として体内で一部 合成していますが、所要量を満たすほどではありません。 ナイアシンの働き まず体のさまざまな組織の機能を正常に保ちます。三大栄養素の代謝に関係し、特に糖質の代謝を促進する エネルギーを確保します。また、皮膚の発育、消化器系の働きに関わっています。さらに、解毒作用や老化防止 作用も持っています。 ナイアシンの欠乏症と所要量 このような働きを持つことから、不足すると、肉体疲労はもちろん、口角炎や口内炎、舌が荒れるなどの皮膚 粘膜障害を起こしたり、食欲不振、消化不良、下痢などの胃腸障害を引き起こします。重くなると、ペラグラに かかります。これは、手足など特に日光に当たる皮膚が日焼けに敏感になるとともに、神経障害や消化器障害を 起こす病気です。 1日の所要量は、大人の男性で17mg、同じく女性で13〜14mgといわれています。 ナイアシンは、 肉類、魚介類、豆類ような食品にたくさん含まれています。 20.自然界に広く分布するビタミン、パントテン酸 パントテン酸は、自然界の動物や植物に広く分布しています。ただし自前で合成できるのは植物と微生物で、 動物は食物から摂取するしかありません。水溶性で、酸、アルカリに分解されやすいという性質を持っています。 その働きは、「補酵素の構成成分となって、フラピン酵素とともに細胞内の酸化還元に関係する」というものですが、 早い話、3大栄養素のすべての代謝に重要な働きをするということです。 1日の所要量は 大人で約10mg。欠乏すると、頭痛や皮膚炎を起こすといわれますが、病気でない限り、ふつうの食生活をしている以上、 不足したり、欠乏したりすることはまずないといわれています。 21.発育を促進する働きを持つ葉酸 フォラシンという別名を持っている葉酸は、化学名プロテイルグルタミン酸という物質で、植物に広く存在しています。 微生物も合成できますが、動物は合成できません。 葉酸は以前は、 ビタミンBcとも呼ばれたことがあります。右下についた小さなCは、ヒヨコに由来します。ヒヨコの成長にとって 重要な働きをすることから付けられたのです。この旧名からもわかるように、発育を促進する働きを持っています。 また、貧血を防いだり、胃の粘膜の働きを正常にしたり、ビタミンAの吸収を促すなどの作用もあります。 アメリカで決められた1日の所要量は、大人で約0.4mg。欠乏すると、貧血、下痢、舌炎を起こすといわれます。 22.所要量を腸内細菌がつくってくれるビオチン ビオチンは、かつてはビタミンHと命名されていましたが、研究が進み、その働きが解明された結果、ビタミンB群に トレードされました。植物と微生物はみずから合成できます。熱には強いのですが、酸やアルカリには弱いという 性質を持っています。働きは、に関わっています。 人間の場合は、 腸内細菌が作り出すことができ、しかもその作り出す量で十分に所要量をまかなえることが多いといわれています。 ただ、卵の白身の中のアビジンというタンパク質と結合すると、ビオチンは吸収されなくなるので、生卵を常食する 場合には、欠乏が心配になります。欠乏症として、筋肉痛、脱毛、疲労感などが起きるといわれています。