トップメニュー 第1章 ビタミンについての基礎知識 第2章 目と肌のビタミン、ビタミンA 第3章 お互いに協力し合って代謝に重要な働きをするビタミンB群 第4章 美容だけでなく、さまざまな働きで注目を集めるビタミンC 第5章 脂溶性という共通点はあっても、それぞれ独自の働きをするビタミンD・E・K 第6章 健康を保ち、不快な症状を解消するためのビタミン活用法 第7章 ビタミンをとるための2つの方法とビタミン剤の上手な利用法 第4章
美容だけでなく、さまざまな働きで注目を集めるビタミンC "美容ビタミン"とか"美多ミンC"といわれるように、シミやソバカスを予防したり、日焼けで傷んだ肌を回復させる ことで最もよく知られているビタミンが、ビタミンCです。最近では、カゼやガンの予防や治療に効果があるといわれ、 ますます注目されています。 1.人間は進化の過程で、ビタミンCを体内で合成することができなくなりました 2.ビタミンCのさまざまな働き -生理作用を中心として- 3.ガン予防で注目を集めるビタミンC 4.Cが不足すると美容と健康に赤信号 5.ビタミンCの1日の所要量は50mgです 6.ビタミンCを多く含む食品は? 7.Cは失われやすく、壊されやすいビタミン 1.人間は進化の過程で、ビタミンCの体内合成ができなくなりました ビタミンCとは、アスコルビン酸という化合物のことです。水溶性で、強い還元性を持ち、溶液は酸性を示します。 酸性のままでは安定していますが、中性からアルカリ性の状態では非常に分解されやすく、熱や光にも弱いと いう性質を持っています。 ところで、昆虫や魚類を除く多くの動植物は、体内でビタミンCを合成することができます。しかし、哺乳類の中で Cを合成出来ない動物があります。そのひとつが人間です。アスコルビン酸はブドウ糖からいくつかの物質を経て 作られますが、人間は最終段階の反応に使われる酵素を遺伝的に欠いているのです。特に人間の祖先は、 約2万5000年前に、この酵素を失ってしまったといわれています。その結果、人間は、生きるうえで欠かすことの できないビタミンCを、食物として、外部からとらざるをえないのです。 2.ビタミンCのさまざまな働き -生理作用を中心として- ここではビタミンCの生理作用についてお話しします。ただ、生理作用と薬理作用の区別は、一部が重なり合って いたりして、はっきり区別できないことをお断りしておきます。 還元作用により鉄の吸収をよくします Cの還元作用により、 食品の中に含まれる鉄分で人体には吸収されない形のものを、吸収されやすい形 に変えることができます。 メラニン色素の沈着を抑えます メラニン色素(シミやソバカスの元になる色素)が皮膚に沈着するのを防いでくれます。 抗酸化作用により成人病を予防します Cの抗酸化作用は、 体の中で重要な働きをすると考えられています。体の中で過酸化脂質が多量に生じると、動脈硬化や脳卒中、 心筋梗塞などの原因になるといわれています。Cはこの過酸化脂質が生じるのを抑え、成人病を予防できるの ではと注目されています。 強くてしなやかなコラーゲンを作ります コラーゲンとは、 タンパク質の一種で、人間の体のタンパク質の3分の1をも占めています。骨の強化に役立ち、細胞と細胞を つなぎ合わせ、しっかりと固める"接着剤"の働きをしています。Cは、このコラーゲンに含まれるハイドロキシ プローリンというアミノ酸を作るのに必要なのです。コラーゲンは、傷の回復や止血に重要な働きをします。 また、皮膚のハリの衰えを防いだり、細胞を強化してウイルスの広がりを妨げる働きもします。 抗ストレス作用があります ストレスとは、外部からの刺激に対して生体が反応し、何らかのゆがみを生じた状態をさします。ふつうストレスと いうと、精神的、神経的な緊張という意味で使われることが多いのですが、実は物理的刺激、たとえば騒音、 けが、やけど、手術などをも含むわけです。 さて、このストレスが大きくなると、人間の体は一般にホルモンの分泌量をふやすことで対処します。特に副腎皮質 ホルモンの分泌がふえます。ビタミンCは、この副腎皮質ホルモンを作り出すのに重要な役割を果たしているのです。 事実、副腎にはCが多く存在し、ストレスを受けて副腎皮質ホルモンの分泌が高まると、Cが急激に消費 されてしまいます。 免疫力を強くします ビタミンCは、私たちの体の免疫の仕組みに深く関わっており、ウイルスや細菌の感染に対する抵抗力を強めて くれます。また、白血球やリンパ球の機能を高めてくれるといわれています。事実、一般に、病人は白血球の ビタミンC含有率が低く、免疫力が低下しています。 インターフェロンが作られるのを促進します インターフェロンとは、ウイルスを抑える働きをするタンパク質です。ビタミンCによって、白血球に含まれるインター フェロンの、ウイルスに対して働く抵抗力が強まります。 抗ヒスタミン作用 細胞の中にはヒスタミンという物質があります。アレルギーの諸症状は、このヒスタミンが遊離することによって 起こりますが、ビタミンCはこの反応を抑える物質を増やします。 生体異物を解毒します 毒物や薬物の中毒のときには、ビタミンCの必要量が増します。脂溶性の毒物や薬物は、肝臓の中のミクロソームと いう水酸化酵素によって解毒されますが、この酵素の活性がビタミンCによって増強されるのです。 3.ガン予防で注目を集めるビタミンC ビタミンCにはガン予防の効果があるのでは、といま注目を集めています。ただし、人間のガンにどの程度の 予防効果があるかについては、いまのところデータが十分ではありません。また、治療効果は疑問視されていますが、 末期患者の延命とか、苦痛を和らげる効果については、臨床医による少数の報告があるようです。 なぜガンに効くかについては、主に次の二つの作用によるのでは、と考えられています。 発ガン物質ニトロソアミンを抑えます ニトロソアミンとは、食肉製品の発色剤などに使われる亜硝酸ナトリウムと、アミンから生じる発ガン物質です。 自然界には硝酸を含む食品が多く、それらが胃や腸で変化してニトロソアミンになることもあります。 このニトロソアミンにビタミンCを加えると、その量が少なくなるという試験管内の実験は数多くあります。また、 マウスを使った実験で、餌にアミンを入れ、飲料水に亜硝酸ナトリウムを溶かして与えると、肺に腫瘍ができるの ですが、Cを与えると腫瘍のでき方が少なくなるというデータもあります。 抗酸化作用が発ガンを抑えます 実は、人間の体を形作る細胞のすべてにガン遺伝子があり、ふだんはほとんど眠った状態でいます。これを目覚め させ、ガン遺伝子として働かせるのが発ガンイニシエーター(起因物質のこと。化学物質、紫外線、ウイルスなど)です。 目覚めたガン遺伝子を持つ細胞の細胞膜に変化が起きると、細胞は分裂を始め、初めてガン細胞が完成、誕生する わけです。発ガンイニシエーターが細胞遺伝子に作用するときの反応は、酸化反応です。ここでビタミンCはその 抗酸化作用によって、発ガンイニシエーターが遺伝子に結合する反応を抑えるのではと考えられるのです。 4.Cが不足すると美容と健康に赤信号 ビタミンCが不足すると、次のようなさまざまな症状があらわれます。 歯ぐきから出血したり、あざができやすい ビタミンCの病的な欠乏症は、壊血病です。これは、Cの不足によりコラーゲンの働きが弱いため、毛細血管の 内側の壁が簡単にはがれて薄くなり、やがて血管がやぶれて血が出やすくなる病気です。イギリスがインドを 領有していたかつての大航海時代、長い航海をする船では生野菜がなくなりビタミンCが不足して、多くの船乗りたちが 壊血病で出血して倒れ、死ぬ人も出ました。このエピソードのようなことは、近ごろではまずありません。しかし、 その手前の軽い症状は現在でも珍しくないのです。歯肉の組織の結合力が弱り、歯ぐきから出血したり、歯が ぐらついたりします。鼻血が出たり、口の中や肛門の粘膜から出血しやすくなったりもします。また、ぶつかった 覚えもないのに、あるいはちょっとした打ち身で内出血を起こし、手足の皮膚にあざ(紫色の斑点)が出ます(紫斑病)。 ほかにも以下のような症状があります。 肌につやがなくり、しみや小じわがふえたり、肌あれを起こしやすくなります。 貧血を起こします。 食物の鉄分を十分に吸収できなくなるため、貧血が起きやすくなる。 ストレスがたまりやすくなります。 精神的に不安定で、イライラしたり、怒りっぽくなる。 頭痛、肩こり、筋肉痛などを起こしやすい。 ビタミンC不足による血行不順から起こります。 カゼなどにかかりやすくなる。 5.ビタミンCの1日の所要量は50mgです ビタミンCの1日の所要量は大人で50mgとされています。これを満たしていれば、壊血病を始めとした欠乏症には なりません。ところで、カゼやガンなどに効くという薬理作用を期待するには、グラム単位でとる必要があります。 これだけの量をふつうの食品からとるのは、まず不可能です。たとえば、レモンで1gのビタミンCをとるとすれば、 10個を丸ごと食べなくてはならないのですから。つまり、薬理効果のためには、ビタミンC剤を利用することに なります。 なお、ビタミンC剤による大量摂取は別として、日常の食生活でとったよぶんなビタミンCは、尿とともに体の外へ 出ていってしまうため、過剰症は起きないといわれています。 6.ビタミンCを多く含む食品は? よく知られているように、ビタミンCは、ほとんど野菜や果物に含まれています。それでは、毎日生野菜をたっぷり 食べていれば、ビタミンCを十分とっていることになるのでしょうか。たとえばレタス。中くらいのもの1個をまるまる 食べたとしても、ビタミンCは18mgしかとれません。1日の所要量をとろうとすると、3個も食べなくてはいけない 計算になります。やはり、できるだけビタミンCの多い野菜の種類を選ぶことが大事です。 また特に注意したい のは、ハウス物の野菜。露地ものに比べて、どうしてもビタミンCの量が少なくなります。たとえば秋口に店先に 並ぶ青白いトマトには、100gの中に4mgしか含まれていなかったという調査結果もあります。 7.Cは失われやすく、壊されやすいビタミン 調理によるビタミンCの平均的な損失率の大体の目安は50%といわれ、最も損なわれやすいビタミンです。 まず食品の保存中に失われます。たとえばさつまいもの場合、10月下旬に収穫して地下の穴蔵に貯蔵したものを 1カ月ごとに測定したCの量は、4〜5月ころになると半分以下になります。夏場の室温程度では、15日間で 約50%も減少してしまいます。 そこで野菜などの買い置きは控え、とにかく新鮮なうちに食べることがたいせつ。しばらく置くにしても室温では ビタミンCが蒸発してしまうので、即冷蔵庫に入れる必要があります。 また、ビタミンCは 水にどんどん流れてしまうので、野菜やくだものを洗うときは手早くすませることがポイント。当然、野菜の煮汁や いため汁にも多く溶け出すので、汁をも含めてできるだけすべて食べるようにしたほうが無駄がありません。 ただし、あたため直しは避けます。煮汁の中に酸素が溶け込み、酸化され壊れやすくなっているビタミンCは、 温め直しでほとんど壊れてしまうからです。 いまお話ししたように、 ビタミンCは酸化されやすいのも特徴です。加熱による損失より、酸化のほうが問題という研究者もいるほどです。 空気の触れやすいミキサーやジューサーでの調理は避けます。さらに、きゅうり、かぼちゃ、にんじんには、アスコル ビナーゼというビタミンCを壊す酵素が含まれています。しかし、この酵素は熱には弱いので、加熱して酵素を 抑えてから食べるようにします。生食するときは、酢かレモンをかけて食べるとよいといわれています。 なお、これまでビタミンCは熱に弱いといわれてきましたが、それほどでもなく、比較的安定していることがわかって います。ただし、調理は煮るより、油炒めのほうがおすすめです。油でさっと炒めたほうが、ビタミンCの損失率が 少ないことがわかっています。