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メニュー 第1章 ビタミンについての基礎知識 第2章 目と肌のビタミン、ビタミンA 第3章 お互いに協力し合って代謝に重要な働きをするビタミンB群 第4章 美容だけでなく、さまざまな働きで注目を集めるビタミンC 第5章 脂溶性という共通点はあっても、それぞれ独自の働きをするビタミンD・E・K 第6章 健康を保ち、不快な症状を解消するためのビタミン活用法 第7章 ビタミンをとるための2つの方法とビタミン剤の上手な利用法 第5章

脂溶性という共通点はあってもそれぞれ独自の働きをするビタミンD・E・K この章では、日に当たらないと骨が曲がるなどといわれているビタミンD、"若返りのビタミン"として最近注目を 集めているビタミンE、それに馴染みが薄いわりには重要な止血の働きをするビタミンKについてお話します。 中でもビタミンEは、発見されてから60年にもなりますが、未知数の部分が最も多いビタミンのひとつです。 1.ビタミンDは、人間の体内で作り出せます 2.ビタミンDは、骨の発育を正常にします 3.ビタミンDが不足すると不定愁訴的な症状があらわれます 4.ビタミンDの一日の所要量と過剰症 5.ビタミンDが多く含まれている食品 6.ビタミンEは8種類あり、効き目がいちばん高いのはα-トコフェロールです 7.ビタミンEは老化を防ぎ、血のめぐりをよくしてくれます 8.ビタミンEはガンを防ぐ働きがあるといわれています 9.ビタミンEはコレステロールを減らし、成人病を防ぐ働きがあるといわれています 10.ビタミンEは一日にどのくらいの量をとる必要があるのでしょうか 11.ビタミンEが多く含まれている食品とじょうずにとる調理のコツ 12.なじみが薄いわりには重要なビタミンK 13.血を固まらせる働きをするビタミンK 14.ビタミンK欠乏症はめったに起きませんが、こんな症状は不足気味の疑いが…… 15.ビタミンKの所要量と豊富に含んでいる食品 1.ビタミンDは、人間の体内で作り出せます ビタミンDは当初、D1からD7まで7種類ありました。最初に発見されたD1は、その後の研究でD2と別の物質の 混合物であることがわかって欠番になり、現在はD2からD7まで6種類あります。いずれも生理作用が同じなので、 Dと総称しています。このうち、D4からD7は天然に存在する量が少なく、またビタミンDとしての働きも弱いために あまり重要視されていません。そこでビタミンDといえば、一般にD2とD3を指すことになっています。D2は化学名が エルゴカルシフェロール、D3は同じくコレカルシフェロールという物質で、いずれも水には溶けず、有機溶剤には よく溶けます。これを脂溶性が高いといいます。化学的には非常に安定しており、食品の加熱、加工、貯蔵などで 分解することはありません。 D2は植物に、D3は動物に含まれています。人間の場合は、D2、D3ともに生理作用は同じです。そこで、医薬品には、 より合成しやすいD2が主に利用されています。よく知られているようにビタミンDは、日光の恩恵によって人間の 体の中で作り出せる唯一のビタミンです。皮膚の表皮にある7−デヒドロコレステロール(プロビタミンD3)という 物質が日光の中の紫外線に当たるとDになり、さらにビタミンD結合タンパク質と結合して体内に吸収され、肝臓や 腎臓で活性型に変わって、さまざまな生理作用を行うわけです。このような生合成で人間が作り出すDの量は、 必要量のおよそ50%といわれます。もっとも、日射量の少ない地域では、この皮膚でのD生成ができないため、 もっぱら食品からとるしかありません。 2.ビタミンDは骨の発育を正常にします ビタミンDは、骨や歯の成長に欠かせないビタミンとしてよく知られています。ビタミンDは、骨から血液の中への カルシウムの移動をスムーズに行い、血液の中のカルシウムの量を一定に保つ働きをしています。血液の中の カルシウム濃度が高まると、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ物質が分泌され、骨を丈夫に守ります。 また、血液中のカルシウムとリンを腸から取り入れる腸内吸収を促し、同時にリン酸を動員して、カルシウムと 結合させ骨に付着させて丈夫にするという働きもあります。 この働きがホルモンに よく似ているため、ビタミンではなくホルモンだ、という学者もいるくらいです。 3.ビタミンDが不足すると不定愁訴的な症状が現れます ビタミンD欠乏症といえば、すぐ思い浮かぶほど、子どものくる病は知られています。これは、新しく作られる骨や 成長する軟骨へのカルシウムの沈着が妨げられて、骨がやわらかくなってしまう病気です。おとなの場合は骨軟化症を 起こします。これらの欠乏症は、日射量の少ない都会生活者に多いなどといわれますが、よほどのことがない かぎり、骨に異常を起こすことはありません。むしろ欠乏症としては次のような不定愁訴があらわれます。 全身倦怠感(体がだるく疲れやすい) 貧血 不眠 食欲減退 肩こり・腰痛 抜け毛 足がつったり、筋肉がけいれんを起こす 唇や鼻が乾いたり、のどの渇きをおぼえる 4.ビタミンDの1日の所要量と過剰症 ビタミンDの1日の成人所要量は100IUとされていますが、すでにお話ししたように日光に当たると必要量の50%が 作られます。ビタミンDが特に欠かせないのは発育ざかりの子どもで、1日に大人の4倍(400IU)の量が必要です。 また、妊婦も胎児の骨の発育のために欠かせません。 ビタミンDは脂溶性の ビタミンであるため、過剰症を起こす可能性があります。臨床実験による過剰の目安量は、1日に10万IUを 1〜2か月とりつづけることといわれています。症状としては、脱力感や食欲不振、下痢、便秘、嘔吐、頭痛、軟骨の 成長停止、血清コレステロールの増加などが挙げられます。 5.ビタミンDが多く含まれている食品 ビタミンDは、卵、特に卵黄やしらす干し、イワシ、サンマ、マグロなどの食品に多く含まれています。 よく干ししいたけに多く含まれているといわれますが、しいたけそのものにはビタミンDはありません。しいたけには、 プロビタミンD2(エルゴステロール)の形で含まれており、それが日光の紫外線を受けてビタミンDに変性していく わけです。つまり、生のしいたけを日の光に当てて乾燥するからこそ、干ししいたけにビタミンDが含まれている わけです。ただ、現在の干ししいたけの多くは、電気乾燥のため、ビタミンDは含まれていないといわれていました。 しかし、ごく最近の研究によると、新しい分析方法では電気乾燥の干ししいたけにもかなりのDが含まれることが わかっています。 6.ビタミンEは8種類あり、効きめがいちばん高いのはα-トコフェロールです ビタミンEの化学名であるトコフェロールは、ギリシア語のトコス(子どもを産む)+フェロ(力を与える)から来ています。 これは発見の過程で、不足するとネズミが流産したり、不妊になる因子として見つかったため。 ビタミンEの効果を持つ物質は、天然にはトコフェロールとトコトリエノールがそれぞれα、β、γ、δ(アルファ、 ベータ、ガンマ、デルタ)の4種類ずつ、都合8種類あります。最も生理的に効きめの優れたα−トコフェロールには 多少構造が違う合成品があります。効きめは天然のものを1とすると合成品で0.7ぐらいです。同じ天然でもα以外の トコフェロールの効きめは、0.01〜0.5と低く、トコトリエノールについては、現在のところ満足なデータがありません。 脂溶性のビタミンであるビタミンEは、ねばりのある淡黄色の油で、植物が合成します。紫外線に弱く、ビタミンCと 同様に抗酸化作用を持ち、空気にさらしておくと酸化されやすい性質を持っています。 7.ビタミンEは老化を防ぎ、血のめぐりをよくしてくれます ビタミンEの働きでまず第一に挙げなければならないのは、抗酸化作用です。細胞がサビる(酸化)のを防いで くれるのです。細胞はタンパク質や不飽和脂肪酸などからできていますが、これらはとても酸化されやすく、 特に不飽和脂肪酸は酸化されると過酸化脂質と呼ばれる有害な物質に変わってしまいます。 この過酸化脂質はタンパク質と結びついてリポフスチン(しみと同じ褐色の老化色素)となり、体中いたるところの 細胞の中にたまってきます。特に血管の内側に付着していくと、血管をつまらせ動脈硬化や成人病の原因に なります。つまり、このリポフスチンこそが、いわば人体のサビで、Eの抗酸化作用がサビ止めの働きをするわけです。 ビタミンEは末梢血管を広げる働きもあります。血のめぐりをよくし、栄養を体のすみずみまでいきとどかせてくれる わけです。冷え症予防や肩こり予防、さらにはハゲ・白髪を防ぐ効果があるといわれているのも、この働きに由来 しています。臨床的にも、末梢血管障害の緩和や更年期症状の緩和に効きめがあることが立証されています。 また、女性ホルモンのバランスを整えて生理不順を予防し、生殖機能を正常に保つ働きもあるといわれています。 以上のような働きから、ビタミンEは老化防止の働きがあるといわれるのですが、どの程度有効かはまだ わかっていません。 8.ビタミンEはガンを防ぐ働きがあるといわれています ビタミンEには、ガンの予防効果があるといわれていますが、人間の発ガン予防に有効であるかどうかについては、 まだデータが不足しています。また治療効果は確認されていません。ただ、大きな期待が持たれていることは確かです。 その理由はEの次のような働きによるものです。 ニトロソアミンが生じるのを防ぐ作用 いくつかの実験から、ビタミンEはCと同じように、アミンと亜硝酸塩が反応してできる発ガン物質ニトロソアミンが 生じるのを抑える働きがあることがわかっています。 抗酸化作用 発ガンイニシエーターが細胞の遺伝子に作用するときは酸化反応が必要ですが、EはCとともに、その抗酸化作用により 発ガンイニシエーターが遺伝子に結合する反応を抑えると考えられます。 9.ビタミンEはコレステロールを減らし成人病を防ぐ働きがあるといわれます ビタミンEには、成人病を防ぐ働きがあるといわれます。それは次の理由によります。 善玉コレステロールを増やす働き コレステロールには、 動物性脂肪から作られる悪玉ともいうべきLDLと、血液中で増えればむしろLDLを減らす善玉のHDLという2つの タイプがあります。ビタミンEには、血液を始めとして肝臓などに含まれる脂肪の代謝を改善する働きがあり、これにより、 善玉のHDLは増加すると同時に、悪玉のLDLは減少し、また、コレステロールの総量は、全般的に低下してくると いわれます。 脳卒中や心筋梗塞を防ぐ働き 脳卒中や心筋梗塞の発作直後には、血液の中のビタミンEが急速に消えていくことが知られています。その原因は、 過酸化脂質が急激に増えるからです。また、脳卒中が多く発生する地域では、住民の血液中のEの濃度が正常値を 下回っている人が多いといわれます。 10.ビタミンEは1日にどのくらいの量をとる必要があるのでしょうか ビタミンEが不足したエサで飼育されたネズミでは、オスの精子形成不良、メスの不妊症や、筋肉、細胞の老化度が 著しいことが確認されています。しかし、人間ではビタミンEの欠乏症は確認されていません。ビタミンEの欠乏症が 確認されていないこともあって、その所要量は日本ではまだ決められていません。しかし、アメリカで決められた 所要量によると、1日当たりα−トコフェロールの量で、おとなの男性では10mg、おとなの女性は8mgとなっています。 これに対し、日本でも多くの研究者によって所要量算出に必要な研究が続けられています。それらの研究を踏まえ、 1989年「第4次改訂日本人の栄養所要量」の"目標摂取量"が発表されました。それによると、1日当たりα−トコフェロールの 量で、大人の男性では8mg、同じく女性では7mgとされています。 11.ビタミンEが多く含まれている食品とじょうずにとる調理のコツ ビタミンEを多く含む代表的な食品には、まぐろ(赤身よりトロの方が倍近く多い)、たらこ、大豆、うなぎの蒲焼き、 植物油(特に綿実油が多い、またごま油は少なく、大豆油はごま油の5、6倍あるが、綿実油の約半分)などがあります。 ビタミンEで有利なのは、熱や酸に強く壊れにくい点です。調理が自由にできるのです。また、脂溶性ビタミンのため 油によく溶けるので、油で調理すると体に吸収されやすくなります。ただし、古い油にはビタミンEの大敵である 過酸化脂質がたまっていることが多いため、調理には使わないこと。また、ビタミンEは紫外線によって破壊されるので、 油や食品を日光に当てない注意も必要です。なお、ビタミンEは、アルカリにも弱いことを付け加えておきましょう。 12.なじみが薄いわりには重要な働きをするビタミンK ビタミンKの「K」が、ドイツ語の"凝固"という単語(Koagulation)の頭文字をとって付けられたことからもわかるように、 血液の凝固に欠かせないビタミンです。重要なビタミンであるわりには、一般にはあまり知られていません。それは、 薬理作用の適切な利用法がむずかしく、「要指示薬」として医師の処方がないと買えないからです。 ビタミンKの働きを持つ物質は、化学的に合成されたものを含めるとK1〜K7までありますが、天然にはK1(フィロキノン)と K2(メナキノン)の2つしかありません。合成品の中ではK3(メナジオン)が生理的な効きめが高いといわれています。 いずれも脂溶性で、加熱、酸化には強いのですが、アルカリや紫外線には弱いという性質を持っています。 ビタミンK1は主に植物の葉緑体で作られる黄色のねばりのある物質で、天然には1種類しかありません。これに対し ビタミンK2は微生物が合成し、常温では黄色の固体で、納豆などの醗酵食品に多く含まれ、少しずつ構造や生理的な 効きめが違う仲間がたくさんあります。人間では腸内細菌がこのビタミンK2の一部を生み出しており、ビタミンK1も 多くの食品に含まれているため、めったなことでは不足しません。ただし、ビタミンK拮抗物質である、ある種の 抗生物質を使い続けている人や、腸内細菌叢が発達していない乳児などでは不足することがあります。また、 ホルモン剤にも弱く、妊娠中にホルモン剤を飲むと、生まれた赤ちゃんの1000人に1人か1500人に1人は、ビタミンK 不足による頭蓋内血を起こし、死んでしまうこともあります。 13.血を固まらせる働きをするビタミンK 前項でも触れたように、ビタミンKには血液を凝固させる働きがあります。より詳しく言うと、血液の凝固に必要な プロトロンビンという物質が肝臓で作られるときに必要なビタミンです。血液はいったん外にもれると、血液中に 含まれる13種類の物質が次々と連鎖反応を起こして血を固めていきます。ところがビタミンKが不足するとプロトロンビンが 作用せず、それら血液凝固因子に不良品ができてしまい、血が止まらなくなってしまうわけです。この他ビタミンKには、 骨へのカルシウム石灰化の調節をしたり、解毒作用や利尿作用もあるといわれています。 14.ビタミンK欠乏症はめったに起きませんがこんな症状は不足気味の疑いが…… ビタミンK欠乏症は、病気の場合を除きよほどのことがない限り起きません。実際、症例は非常に少ないのです。 ただし、病的な欠乏症とまではいかなくても、次のような場合は不足気味である可能性があります。 生理の量が多い ケガをすると血液がとまりにくい 歯ぐきから出血しやすい 打ち身のあざがなかなか消えない 疲れやすく顔が土気色をしている 大便が黒っぽい 15.ビタミンKの所要量と豊富に含まれている食品 ビタミンKが豊富に含まれている食品にはチーズ、バター、レバー、緑茶、ブロッコリ、キャベツ、レタス、ほうれんそうなどが あります。特に緑茶とほうれんそうには多量のビタミンKが含まれています。もっとも緑茶100gを摂取するのは容易では ないでしょう。ビタミンKの1日の所要量は日本では特に決められてはいませんが、アメリカでは大人場合100μgと されています。大体の目安として、毎日納豆1パック、ほうれん草2分の1束ほどをとっていれば不足気味になることは、 まずありません。なお、脂溶性であることから、油脂で調理すると吸収がよくなります。特に緑黄色野菜や牛レバー、 納豆を良質の脂と組み合わせると、量、吸収率とも効果的にアップできます。

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